[ Top | Memo | Diary | Aerial ]

オーストラリア学部留学

Index


はじめに

こんにちは。小町です。大学の交換留学制度を使って2002年2月から12月まで2学期間シドニー大学に留学しています。大学院の留学情報はあふれているのに学部留学(交換留学なので正確には学部留学じゃないかもしれませんが)の情報は少ないので、気がついたことを備忘録として書いておきたいと思います。学部留学を考えているんだけど、ちょっと情報が少なくて困っている、と google かなんかで検索して来る人を読者に想定しています。

東大の教養学部在籍生は後期課程に AIKOM という交換留学プログラムがあり、それを念頭に置いて書いた(というか書きつつある)文章もあるので参考にしてください。もしかしたらこの文章もオーストラリア全体に通用するものではなく、シドニー大学にだけあてはまるものかもしれませんが、そのときはその大学に学部留学したあなたが別の文章を書いてください :-)

その他訊きたいことなどあれば までご意見・ご感想お寄せください。お便り待ってます ;-)

まずは着物について。オーストラリアは日本よりだいぶ暖かいので、基本的に軽装で過ごせると思って間違いないでしょう。シドニーは真冬でも最低気温8度くらいです。日本と同じでセ氏を使うので分かりやすいです。他の度量衡、長さや重さもメートルやグラムなので、ヨーロッパやアメリカから来た人たちと違って迷うことがありません。

ただ、シドニーは天気が変わりやすいことで有名です。暖かいと思っても授業が終わって外に出てみたら雲が空を覆っていて寒かった、ということもよくあります。オーストラリアの冬は6月・7月・8月なので、この時期を含めて滞在予定の人は、長袖やセーターを多めに持ってきましょう。コートも必需品です。

わたしは夏は T シャツ、秋は長袖の裾をまくって着て、寒くなったら袖を降ろし、冬になったらセーターをさらにはおったりコートを着たりするだけなので、結局 T シャツと長袖と下着を各1週間分、それにズボンとセーターとコートを各2着、それに手袋とマフラーを持ってきました。まだ本格的な冬でないのでなんともいえませんが、夏は T シャツ1枚でも日差しが強く、かなり暑かったです。サンダルがあると快適かもしれません。

衣類はかさばるので日本から持ってこなくても現地で買えばいい、という手もあります。ただ、オーストラリアの衣類はかなり貧弱です。そもそも布が悪いのかもしれませんが、特に靴下はすぐ穴があきます。色物は色落ちすると思って間違いないでしょう。持ってこられるのであれば持ってきたほうが得策です。

食べ物は、とても量が多くてそれでいて安いので、非常にお得です。学生街で外食するとだいたい1食 $6 〜 $10 くらいです。1オーストラリアドルが70円とすると、420円から700円くらい。量を考えるとかなりリーズナブルです。

シドニーはいろいろなナショナリティの人がいるので、自ずとレストランも多国籍です。イタリア料理、フランス料理、パブ(イギリス風)、タイ料理、ネパール料理、中華料理、日本料理(といっても寿司)、ヴェトナム料理などなど。もちろんオージーが好んで行くカフェもあります。ステーキが大きすぎるので入ったことはありませんが……。

ホームステイや寮暮らしで毎日ご飯が出る(full board という)のでないかぎり、安いとはいえ毎日外食では経済的によくありません。特に一人暮らしをしたり他の学生や社会人とホームシェアしたり(留学生も現地の学生も部屋をシェアするのが一般的)すると、自炊がいちばん安いとよく分かります。自炊経験がない人は、日本にいるうちに最低限の練習をしたり、もしくはせめて料理方法の本を持ってくるのがお薦めです。料理の本の英語は独特なので、全く経験がない状態で挑戦するのはかなり無謀です。

ひとたび自炊することに決めるとあとは楽です。住む場所にもよりますが、家具つき fully furnished というところに住むと、コンロや台所用具も揃っています。シドニー大学から歩いて数分のところには Broadway Shopping Centre という大きな商店街ビルがあり、その中に Coles や Bilo といった大きなスーパーマーケットがあるので、食べ物はここで買うことができます。Coles は24時間営業なのでとても便利です。ただ、バッグを持っているとレジでほぼ毎回「中を見せてくれますか?」と言われるのであまり気分よくありません :-(

野菜はだいたい日本で買えるものが半分くらいの値段で買えると思ってください。しかもなぜかビッグサイズだったりします。ダイコンとゴボウは見かけたことがありませんが、大学からバスで5分ほどのところにあるチャイナタウンに行けばアジア系の雑貨(炊飯機とか)・衣類・食べ物などありとあらゆるものが手に入るので、日本にあるこれがなんでないんだー! と思う人はチャイナタウンに行ってみましょう。もっとも、Coles にも Bilo にもアジアンフードコーナーがあるので、それほど困ったことはありません。肉類も牛肉・豚肉・鶏肉・羊肉とよりどりみどり、しかもかなり安いです。鶏肉と牛肉が同じくらいの値段なので(場合によると鶏肉のほうが高かったりする)、ばかばかしいです。オーストラリアの全牛肉生産量のうち7割が日本向けらしいですが、この安さを考えるとさもありなん。

自分でご飯を作るといっても、場合によってはシェアメイトと交代で作ることになるかもしれません。もしくは運がよければシェアメイトがいつも作ってくれるかも分かりません(もちろん食費は払うみたいですが、そういう幸運な人もけっこういるみたいです)。不幸なことにわたしは他のシェアメイトと夕食の時間が1時間から2時間くらい違うので交代制はとれませんが、交代で作れればそのほうが便利です。自分1人で自分の分の食べ物を作った場合、だいたい食費は3食合わせても最大週$30くらいです。いつもは$25くらいでしょうか。外食だと1食で$6からかかるので、半額くらいで済みますね。

ご飯はいつも電気炊飯器で炊いている、という人は、1年以上滞在するのであれば $100 くらい出して炊飯器を買ってもいいかもしれませんが、こちらで買える炊飯器は炊く/保温という最低限の機能しかついていないので、タイマーが欲しかったりふっくら蒸らせるのが欲しかったりしても手に入りません。日本からいい炊飯器を持ってくる手もありますが、一度鍋でご飯を炊いてみるといいでしょう(方法が分からなければ google で検索してください ;-D )。鍋でご飯が炊けるようになると(実家はいつも鍋でご飯を炊いていました)、電気炊飯器に頼らなくてもいつでもご飯が食べられます。火にかけてからだいたい20分から25分くらいでできあがります。ちなみにお米はいわゆるタイ米と日本で食べるような短いのと両方買えますが、後者でも 2kg で $4 ちょいです(信じられないくらい安い)。

学校から入学許可をもらったらすぐ渡航の準備を始めると思いますが、住む場所を探すのにも一時的に滞在する場所を確保しておかないといけません。日本にいる間に手続きをすれば、オーストラリアに到着してから数週間は大学の寮などに滞在できるはずなので、日本にいる間に一時的な住居なりホテルなりは確保してから飛行機に乗ることを強く薦めします。到着してからなんとでもなるや、と思ってなにも用意せず、シドニー空港に来てからユースホステルを予約したのですが、来てすぐは英語も不安だし(実際オーストラリアの普通の人の英語は聴き取りづらい)、ユースホステルは1日 $28 とはいえ4人部屋だったので、他の人たちになじめず最初の1週間くらいで日本に帰りたくなりました。10時に寝たいのに11時過ぎまで喋っていたり、朝帰りだったり。そもそも彼らは Bondi や Manley で泳ぎに来ているので、大学で勉強しようと思ってきているわたしとは話題が合わなかったのです。スラングでも覚えて英語の勉強したい人には向いているかもしれませんが、そもそも1分に1回 fuck という単語が混じる人たちとは会話できそうになかったです……。

到着したあとぼちぼち観光したりして落ち着いたら、次は部屋探しです。学期が始まる1ヶ月前には渡豪して、授業がある間滞在する部屋を探したほうがいいですよ、と留学生向けパンフレットにあったにもかかわらず、無視してオリエンテーション前々日に日本を発ったところ、部屋を探すのにすごく苦労しました。みんなこの時期は部屋を探すので、条件のいい部屋はどれも先に来た人が取ってしまいます。実際のところ、いま住んでいるところを見つけるまでに10件以上断わられました。

シェアメイトやホームステイの募集は、学校の住まいサービスや掲示板、新聞などで見つけることができます。学期が始まる時期は構内のいたるところの掲示板や柱、壁などにシェアメイトの募集の貼り紙がしてあります。シドニーでは Sydney Morning Herald という新聞の土曜日版(スーパーや news agent と呼ばれる売店などで買える)に部屋情報があるので買って探しましょう。週末の新聞は土日合併で $2.00 です(平日は $1.20)。分量がかなり多くて2束になっているので、片方の束だけ買ってもう片方を取り忘れないようにしましょう。最初別の新聞だと思って取らなかったのですが、別の束のほうに部屋情報やら求人情報やらあるのをあとで知りました。確かに部屋情報ないなあ、と不思議に思ったのですが、レジの人ももう1束あることを教えてくれなかったので気づきませんでした……。

部屋を探すに当たっては、まず部屋の条件を見て、興味を持ったらそこに書いてある電話番号に電話して詳しい情報を聞き、自己紹介などもして、双方もっと知りたくなったら向こうが詳しい住所を教えてくれたり、いついつなら来て部屋を見たり他のシェアメイトに会えたりするよ、などという話になります。わたしも最初は留学生も OK というところをわざわざ避けて当たっていたのですが、留学生と分かると(こちらの英語がまずいのも気になるのでしょうが)あまりいい感じで喋ってくれませんし、スムーズに部屋を見つけたいときは留学生も歓迎(intl welcome とか書いてあります)と明示しているところを探したほうがよいでしょう。

オーストラリアでは高校生の段階で日本の大学でいうところの一般教養科目を勉強しているので、交換留学でなく直接日本の高校からこちらの大学に入学すると、英語の壁はクリアできても内容が難しくて分からない、ということになるかもしれません。交換留学生には「現地の大学で1年以上滞在して単位を取得していること」という条件があるのはそのためです。その点、交換留学だと一般教養科目をある程度履修してからオーストラリアに来るので楽かもしれません。もっとも、こちらに来てから「日本の高校を出てそのままシドニー大学に来た」とか「日本の中学を出たあとこちらの高校に入ってそのままこちらの大学に入った」という日本人も知っているので、直接学部留学は無理かというとそうでもないでしょう。

もし仮に英語に全く不自由がなかったとすると、シドニー大学で教えている授業の内容はそれほど難しくありません。むしろ簡単な部類です。東大の駒場の1・2年の学生のほうが高度な内容を学んでいると言っても言い過ぎじゃないでしょう。ただ、オーストラリアの学生はどうも積極的で、講義の最中でもばんばん手を挙げて(挙げないでも)発言します。先生が学生を当てるということはありませんが、「なにか質問は?」とか「なにか例を言ってください」とか学生に発言を求めたとき、誰かしらすぐ発言します。そもそも当てる必要がないんですね。

文科系の授業を主に受けているので理科系のことはよく分かりませんが、文科系の授業は講義とチュートリアルの2つに分かれます。講義は日本の大学や高校の授業と比べると活発とはいえ、だいたい先生が黒板なりホワイトボードなりに板書して授業を進めたり、OHP を使って説明したりするスタイルは同じなので想像がつくかと思います。他方、チュートリアルは授業によってさまざまです。講義で分からない内容を質問するチュートリアルもあれば、チューターが講義に関係あるトピックを毎回学生に与えて小さなグループで討論、というチュートリアルもあります。もしくは、授業で2週間に1度課題が出るので、課題を提出するためのサポートをするチュートリアルもあります。総じて、チュートリアルの特徴は、講義より気軽に質問することができるというところです(いくら質問していても、今日終わらせないといけないノルマみたいのはないので、延々質問で終わることもある)。

オーストラリアの大学の成績評価は、かなり厳しいです。絶対評価でなく相対評価なので、自分ではよくできたと思っても、他によくできた人がいれば成績はよくないことがあります。もちろん課題は語学を選択しないかぎり全部英語です。とはいえ、英語があまりできなくても、英語で点数を引くということはなく、書いた内容自体で評価してくれるので、あまり心配することはありません。1年生向けの授業と語学はとても甘いのですが、2年生/3年生向けの授業はちゃんと勉強しないと散々です。日本の大学で優ばかりだと思って甘い気持ちでいると、可ばかりしか帰ってこなくて青くなります(なりました)。

また、本が異常なくらい高いので、事前に講義要項などでテキストや参考資料が分かっているのであれば購入しておいたほうがいいです。現地に到着してからさらに Amazon でアメリカから取り寄せ、ということもできますが、住所が決まっていないと買えないのと、到着までに数週間かかったりすることがあるので、事前に入手できるのであれば日本で買っておいたほうが賢明です。

わたしはあまり遊ばないタチなのでよく分かりませんが、友人たちはサークルでスポーツをしたり、学校内のジムでエクササイズしたりしているようです。留学生にはダイビングが人気のようです。講習を受けて何回か練習すると実際の海でダイビングできるらしく、非常におもしろいらしいです。他にもブッシュウォーキング(山歩き、とでもいえばいいのでしょうか)やらロッククライミングなど、自然を楽しむ感じのスポーツを楽しんでいるようですね。

また、学校の周りにはいくつか映画館があり、学生割引で1つ $10 ほどで観られるので、友人を誘って映画を見に行くこともあります。当然のことながら字幕はないので英語が分からなければそれまでですが、それほど高くないので気軽に行けます。レンタルビデオ店もシドニー大学近辺にはいくつかあるので、気に入った映画があれば新作は2泊3日 $6 くらいで借りられます。ちなみにオーストラリアのテレビ番組はとんでもなくつまらないので、日本でもテレビがないと生活できないという人はオーストラリアに来ることを考え直したほうがいいです ;-P

もうどこでもインターネットが使えるので、オーストラリアにいる間もメールやチャットで日本の友人と連絡を取りたいと思うこともあるかと思います。しかし、日本の大学が海外からの留学生(英語圏以外)のことをほとんど考えないのと同様、オーストラリアでも学校のコンピュータで日本語が使えることを期待してはいけません。実際、事実上シドニー大学の Windows では日本語が入力できないのはもとより、読むことすらできません(フォントをインストールすれば一応読めますが、コンピュータごとにインストールしないといけない)。

インターネットカフェも100m歩けば1軒あるくらいですが、これは1時間 $2 くらいかかるので、毎日行くわけにもいきません。ノート PC を持っているのであれば、持参することをお薦めします。デスクトップを持ってきた(郵送でなく担いできたようです!)強者もいましたが、彼は変圧器の使い方を間違えて1回も使うことなく壊してしまいました。他にもアンプを持ってきたけどこれも変圧器を正しく使わないで破壊してしまった人もいます。ノート PC は基本的に海外でもコネクタの形状だけ変えれば使えるようにできているので、その点安全です。まだ持っていないけど留学する可能性のある人は、IBM か東芝のものを買いましょう。IBM のノート PC は国際保証がつくので、海外で故障しても安心です。日本で使うにも、ノート PC の盗難保証をしているのは IBM くらいです(IBM の回し者ではありません)。

[ Top | Memo | Diary | Aerial ]


小町守 (奈良先端科学技術大学院大学), mamoru dot komachi at gmail dot
com
Mamoru KOMACHI (Nara Institute of Science and Technology)
Last modified: ÌÚÍËÆü, 21- 9-2006 20:28:03 JST