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東京大学教養学部紹介

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代ゼミ経由で東大に入ったのはよかったのですが、東大に入ってからは苦難の連続でした。毎年毎年辞めたいと思っていたのですが、進降りが終わって駒場に進学できることが決まってからはだいぶ気が楽になりました。後期課程は前期課程と比べてだいぶましなので、後期課程の紹介をします。

東大は現在文1文2文3、そして理1理2理3と大きく分けて2つの科類、細かく分けると6つの科類で入学選抜を行います。入学時点ではどの学部に進学するか確定しておらず(文1→法学部、文2→経済学部、理3→医学部だけは保証されています)、まず全員教養学部の前期課程に所属します。そして、2年生の秋にはそれまでの3学期間の成績をもとに進学振り分けという選抜が行われます。早い話が成績順に行きたいところに行けるということなのですが、実は教養学部は前期課程だけではなく後期課程にも専門科目を持っているので、行きたい人は駒場を進学希望先にすることができます。それでわたしは駒場にやってきたわけです。

そもそも現役時代から京大に行くつもりで東大に来るつもりは全くなく、いまでもなぜこういう間違った選択をしてしまったのか不思議なのですが、そういうふうに東大についての知識がなかったため、合格するまでは東大が駒場と本郷という2つのキャンパス(他にもありますが学部生が関係するのはだいたいこの2つ)に分かれていることすら知らず、ましてや教養学部に後期課程があることすら知りませんでした。文3から教養学部に進学しようとすると進降りの段階で熾烈な争いに巻き込まれるので(だいたい成績の平均点で90点前後ないと文3から教養学部各学科には進学できません)、最初から後期課程を教養に絞っている人は戦略的に文2に入学するみたいです(文2からは60点台でも進学できたりするので)。

駒場が本郷に対して持つアドバンテージはいくつかあります。

まず第一に、慣れたキャンパスを移らなくて済む、というのがあります。サークル活動も活発なのはだいたい駒場だけで、本郷に進学するとほとんどのサークルは消滅するらしいですし、地方から来た学生の人は駒場から本郷に移るとき引っ越したりするので、環境の変化が嫌いな人は駒場に残れるというのはとてもありがたいです。

次に、前期教育と後期教育が連続している、という駒場の特性が挙げられます。だいたいの先生は前期課程でも後期課程でも授業を持っているので、学生のレベルがどれくらいなのか分かっています。また、前期課程の授業を受けた前提で後期課程のカリキュラムが組めるので、移行がスムーズです。逆に駒場と本郷はかなり分断されているため、本郷の先生が「ちゃんと駒場で教育しろ、こんな学生を寄越すくらいなら最初から本郷に来させろ」などと愚痴るような局面は少なくなります(なんとなれば自分の責任になるので)。

また、駒場は学際的な教育でも有名です。本郷が比較的専門分野に特化したタコツボ型の教育であるのに対し、駒場は一つの分野に捕われることなく好きに勉強ができます。工学部の友人たちが「工学部だと語学がないし他学部の科目も自由に取れない」と嘆いていましたが、教養学部は他分科の科目は自由に履修できますし(だから物理を勉強しているけど生物もやりたい、というような学生には天国のようなところ)、他学科の科目もかなりの数取れるうえ、他学部の科目も聴講できるという柔軟な体制を取っています。専門に縛られずいろんなことをやりたいという人に最適です。

そして、教育の密度が高いというのも重要です。わたしが所属している科学史科学哲学分科に至っては専任の先生が8人のところ、学生が1学年5人という充実ぶりです。後期の授業はセミナーが多く、院の授業と共通のものもかなりありますし、大人数の授業に飽き飽きしている人にとってはまるでオアシスのようです。

さらに、本郷と駒場の研究分野の違いも見逃せません。たとえば言語学文学部にも言語学科がありますが、教養学部にも言語情報学科があります。前者は主にいわゆる言語学、記述言語学などを研究していますが、後者は認知言語学など比較的新しい学問分野を扱っています。哲学も文学部哲学科と教養学部科学史科学哲学分科とどちらにも存在しますが、前者がいわゆる大陸系(ドイツ・フランスおよび古典)の哲学を主に研究しているのに対し、後者は英米圏の哲学を中心とした比較的ホットなトピックを議論しています。他にも認知科学系の生命・認知学科などは本郷にはない学問分野ですし、超域文化研究科の副専攻(メジャーとマイナーを選択する)なども教養学部独自のものです。

最後に、駒場は語学教育に重点を置いていることも特徴の一つです。教養学部で文科系の学生は卒業までに12単位語学を履修することが義務づけられますが、これは語学が好きな人にとってはたまらないものです(嫌いな人にとっては縛り以外の何物でもありませんが)。前期課程で身につけた語学をさらに鍛えることもできれば、新しく別の語学を始めることもできます。国際感覚を養うという観点で交換留学プログラムがあるのも特筆すべき点です。わたしのように海外の大学に行って学ぶ人も入れば、海外から駒場にやってきて日本の文化を学ぶ人もいます。教養としての語学から使うための語学への橋渡しを重視するのも駒場の特徴です。

ここまで駒場に在籍すると、本郷? なにそれ? という感じになってきます ;-P UCLA や UCB のように同じ大学ではあるが別キャンパス、そして別の文化であると言ったほうがいいんじゃないか、と思うくらい違いがあります。本郷はまだ10回も行ったことがないので分かりませんが、駒場は居心地がよくて非常に過ごしやすいいいところです。

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小町守 (奈良先端科学技術大学院大学), mamoru dot komachi at gmail dot
com
Mamoru KOMACHI (Nara Institute of Science and Technology)
Last modified: ÌÚÍËÆü, 21- 9-2006 20:25:55 JST