駒場の教養学部後期課程の学生のための交換留学制度、AIKOM を使って1年間シドニー大学に学びにいきました。
シドニー大学はオーストラリアでもっとも古い大学で、建物も石造りでとても美しいです。同じくシドニーには新しくできたニューサウスウェールズ大学(UNSW)というのもあり、こちらも人気ですが、こんなにきれいな建物があるのは歴史あるシドニー大学だけです。日曜日にはチャペルからパイプオルガンの音楽が流れてくるし、夕焼けに映える Main Quadrangle の眺めは忘れられません。
オーストラリアに来て驚いたのは、日本人が全然いないことです。もっと多いかと思ったのですが、日本人の友人は1人しかいませんし、韓国人や中国人が多いのと比べるととても不思議です。
オーストラリアの大学は日本の大学と比べて成績評価がとても厳しいです。そのため、学生も必死に勉強しています。課題も毎週のようにあって四苦八苦しますが、とても勉強している実感はありますし、先生も教育に時間を割いているのが分かるので充実感があります。課題は毎週もしくは隔週で科せられ、これに加えて毎週授業の予習があります。文科系だと成績評価はこの課題に加え、学期中に1回か2回の筆記試験、さらに1500語(1年)から2500語(2年〜)のエッセイ(日本でいうところのレポート)があります。授業によってはプレゼンテーションも必要だったりとかなりてんこもりです。
文科系では、だいたい授業は週2時間の講義と1時間のチュートリアルの計3時間で構成されます。1年生の場合それぞれの授業は別の曜日なのでクラスメイトと週3日顔を合わせますが、2年次以降(オーストラリアの大学は学部によって修業年限が違いますが、たとえば文学部は大学院に進学しない人は3年で卒業、大学院に進学する人は4年次に卒論を書くので4年で卒業です)は講義が2時間連続になるので週2日になります。
講義は先生によってスタイルはさまざまで、人によっては講義でも活発に発言を求めるタイプの先生もいますし、ハンドアウトを元に淡々と黒板に板書しながら解説するのがメインの先生もいます。欧米圏の大学は日本と違って講義も活発だろう、と思う人もいるかもしれませんが、それは間違いで、オーストラリアでも学生は当てられてもみんな喋りません :-P (オーストラリアは欧米圏じゃないよ、と言われればそれまでですが、イギリスと教育制度は似ているらしいです)
一方まさにこれは、と思うのはチュートリアルの授業で、こちらは講義を補う意味で開かれるもので、講義の内容をベースにした議論、もしくは講義の内容をもとに毎週出される課題の答え合わせが週1であります。チュートリアル用に毎週論文が2本から3本渡されて、これを読まないとチュートリアルで発言できないのでかなり大変でした。講義は人数が多いのですが、チュートリアルは別々の教室で各クラス20人くらい(場合によっては開かれる時間も異なる)で開かれ、実際の授業中はそれがさらに3-6人くらいの小グループに分けられてディスカッションが行われます。予習もさることながら、そもそも英語で喋るのが苦労するし、チュートリアルは(みんながあちこちで喋るので)相手の英語を聴き取るのも難しかったので大変でした。ただチュートリアルでは講義の内容以上のことは絶対にやらず、復習に徹底するので、授業の内容を理解するのにはとても役に立ちました。
実際の授業に関しては、学問的なレベル、および施設のよさは東大のほうがあからさまに上ですが、教育の質に関しては上に書いたようにシドニー大学のほうが格段によいです。東大では授業のレベルは高いのですが、それはそもそも学生が最初からそこそこできるからレベルが高いように見えているだけだと思います。シドニー大学だったら、最初全然分からなかった人も、ちゃんと最後までついていけば、それなりの学力は身につくようにカリキュラムが組まれています。東大の授業といえばほとんどは学期末の試験1つで、授業に出ないで友人からもらったプリントで一夜漬けするくらいで優、なんてのがほとんどで、最初から教育を放棄しているかのような印象を受けます。やっぱりそれなりに苦労し、それなりに努力したらそれに見合う成績がつく、というのがやりがいあるのではないでしょうか。
シドニー大学は日本人留学生こそほとんど見かけませんでしたが、いろいろな国からの留学生もたくさんいて、現地の学生に加え多彩な顔ぶれの人たちと友人になり、とても楽しかったです。それぞれ違った背景をもち、異なった考え方をする人たちと議論をすると、自分の価値観が相対的なものであることに否が応にも向き合わされます。すごく刺激的な毎日でした。議論ばかりじゃなく、みんなでスカイバーに行ってシドニーの夜景を見ながら乾杯なんてこともしましたけどね ;-)
こういう刺激的な経験、自分の考え方が根本から揺さぶられるような体験というのは、感受性が豊かな若い時期にするのがいちばんです。特に高校卒業から大学にかけてというのは、自分の将来も見据えて学ぶという、それまでにない成長の期間でもあり、若いうちに留学しておくというのはまず間違いなく強くお薦めできることの一つです。理由はなんであれ、異文化の中で暮らしてみるというエキサイティングな体験、あなたもぜひチャレンジしてみてください :-)
